加納楽屋口 -- 日本髪マニアの店長が(有)加納のアクティビティや日本髪の話題をお届けします
 
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小物 筥迫(はこせこ)

筥迫とは?

はこせこ

昔の女性達のお化粧ポーチ的な役割で、主に懐紙が入っていますが、中には化粧道具が一式入るものもあります。たとえ着物を脱いでも紙を手放さないのが女の嗜みだったとか。
贅を極め、もはや実用品でなくなったものも・・・。
現代の装いでは七五三や花嫁衣装に形式的に残っています。

筥迫はもともとその形が好きだったのですが、日本髪を結ったらこんなのを入れてみるのもいいかもと作ってしまいました。
試作段階なのでまだまだですがいつかは・・・・?
本体にはお懐紙入れ、鏡、板紅入れがついています。房がついているのは簪入れ。
ビラビラのついた筥迫簪を入れます。小さな匂い袋には練り香などを入れるそうです。

筥迫を作る?

作れるって信じていたんです。ええ、初心者ですから。
袋物のお教室に通っているのですが、筥迫が畑違いとは思わず先生に「次は筥迫がいいです!」と爆弾発言。だって、お懐紙入れと同じようなものだから作れるんだと思ったんです・・・。
筥迫は専門の職人さんがいて一般的な袋物とは畑違いだということを先生は教えてくださいました。特に白い縁取り(覆輪)を付けるというのが普通の袋物ではないことだそうで。それでも、「昔その職人さんからやり方を聞いたことはあるからなんとかやってみましょう」と言ってくださったのです。
それから、いくつも試作して、やり方をあれこれ変えて、形になったのが写真の筥迫1号。てんちょの無理難題に真剣に取り組んでくださった先生のご教授の賜です。
なので、思い出いっぱいの筥迫です。

筥迫としては・・・

お手本にした筥迫より少し厚くできてしまったので、胸元に入れると着崩れるかも・・・・。
次回は芯地を工夫してもう少し薄く作りたいです。あと、制作の都合上鏡が入っていないので(そんなの筥迫じゃないですが)今度はちゃんと鏡を入れて作ろうと思います。
匂い袋の飾り結びも正しい結び方を入手したので次回はきちんと。
あとは、自分で作れない部分で筥迫簪、板紅があるのでそれをどこかで都合したいです。
先生は簪の代わりにお菓子の楊枝を入れておけば便利では?とのことだったのですがやっぱりビジュアル的に簪のビラビラが欲しいです。銀で作るのは・・・・やっぱりだめですよね?着物が黒くなったら困りますし。板紅って今でも手にはいるところはあるんでしょうか?

後日談 板紅の話

伊勢半本店謹製板紅

この筥迫の記事を書いたずっと後になって、今も江戸時代と変わらぬ製法で紅を作られている伊勢半本店さんとおつきあいさせていただくようになりました。
現在、伊勢半本店さんのもっともベーシックな商品はお猪口に紅を掃いた「小町紅」ですが、紅ミュージアムのリニューアル記念に銀の板紅を製造されました。うちも銀の箱部分を作るのをお手伝いさせていただき、天面には輪島の作家さんが漆芸を施した大変美しい物です。うちにも一個買わせていただきましたが、これに見合うくらい立派な筥迫が私には作れないなぁ・・・・というのが素直な感想です。

それ以外にも、板紅よりもさらに携帯に適した屏風紅*も復刻されています。
ご興味のある方は一度、伊勢半本店紅ミュージアムさんをお訪ねになってはいかがでしょうか。

*屏風紅
厚紙の表紙に漆を塗り、その上に紅を掃いた物。二つ折りにして携行する。
軽量で持ち歩きに優れる。

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