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日本髪マメ知識 日本髪各部の名称

日本髪の各パーツの名称です。

日本髪各部の名称

根(ね) 元結い(もとゆい・もっとい)

日本髪各部の名称 根・元結い

根の位置と高さ

根、元結いと呼ばれる部分(赤矢印)。
結髪の一番最初に縛るところ。
ここが髪全体の芯になるので、しっかりと締め込みます。
「ギュッと締めると痛くないか?」と聞かれることがあるけど、むしろ緩いと髷が揺れて変に引っ張られたりしてイタイので締まってる方が良いです。

根かもじを入れるのもここ。
京風は根かもじをあまり用いないらしいです。
常に同じ位置に根をとって同じ髪型にする時には、根かもじの土台が頭皮に密着して安定性を増すようこの部分をピンポイントで剃ることもあったそう。

髪型により根を付ける位置が変わります。
一般に輪物の方が頭頂部に近く、つぶし島田系はそれよりやや下に。
同じ髪型でも根を高く(頭頂部に近く)付けたり、低く(頭頂部から下がって)付けることがあり、結われる人の身長や雰囲気を加味して案配するのが結髪師の腕の見せ所です。
一概には言えませんが、根下がりに結う場合は年長や年増の場合が多いです。

日本髪各部の名称 根・元結い

根が傷むとは?

←のように髱・鬢・前髪などがすべてここに集まってきて縛られるため、負荷がかかりやすくなります。
根の締め込みが緩かったり、髷が重かったりするとここの部分が解いたときにキズになっていることも。それが俗に「引きイボ」と呼ばれるもので、頭の靴擦れみたいな症状です。
特に同じ位置に根を取って同じ髪型を繰り返すと負荷がかかりすぎて根が傷むので、時々違う髪型に結って根の位置を変えたり、日本髪自体を休止して、「根休め」をします。
昔は立場によって結える髪型は決まっていたため、同じ位置に根を付け続けなくてはならず根の保護は大変だったということです。

日本髪各部の名称 かすがいかう

出典:『すがた 第拾二巻十月特別號』 大正15年10月1日発行

日本髪はハゲる?

長期にわたって日本髪をした場合、この根の部分への負荷が蓄積して毛が薄くなったり、禿げたりします。これが、所謂「元結いハゲ」。
「お婆ちゃんにはカッパのようなハゲがあった」「日本髪は禿げると聞いた」という方はたぶんこの「元結いハゲ」のこと。

結髪の先生に伺ったところ、関東の髷は大振りで重いので、毎日日本髪を結って暮らすと1〜2年、軽い関西の髷でも2〜3年やったら確実に禿げる、とのこと。日本髪の宿命ですね。

ハゲは昔から女性達には深刻な問題だったようで、大正15年に発行された雑誌には右図のようなハゲに貼るパッチ(?)用接着剤の広告が見られます。
鬢付け油的なネバネバしたものなのか、ドンピシャみたいなものなのか・・・パッチとして貼る丸い物はどんな材質だったのかとても興味深いです。

簪・かもじ等を扱う店の広告には、このハゲ部分に貼る「ハゲ貼り毛」なるかもじを宣伝する物も。
ハゲの大きさや形に合わせたオーダーメードだった模様。今みたいに便利なウィッグクリップはなかっただろうから、それも「舶来かすがいかう」のような接着剤で貼り付けたのでしょうか・・・・?

とはいえ、成人式や結婚式、趣味で一二度結ったくらいで直ちに禿げることはないので、あまり心配せず日本髪に挑戦してみてください。
私は・・・・日本髪中毒者なので、たぶんそのうち禿げる・・・orz

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